効果的な健康経営が行えるリハビリテーション・マインド​

リハビリテーション・アプローチが効果を生み出す

 リハビリテーションは、怪我や病気による後遺症に対して身体の機能を回復させる機能障害へのアプローチとすべての機能障害が元に戻るということはなく、病気の性質や後遺症の程度によっては回復に限界もあり、機器や道具を使用した代償的アプローチがあります。リハビリテーション専門職は、常に最大の機能回復に向けて努力しています。そして、この2つのアプローチをバランスよく組み合わせて、リハビリテーションチームの協働により、最大限の機能回復や日常生活・社会への復帰を目指しています。

リハビリテーション職は、評価により長所を伸ばす

 リハビリテーション職が初めに行うことは「評価」です。この評価からリハビリテーションプランが決定します。つまり、評価によりアプローチが決定することになります。勿論、病状や状態は常に変化するものであるので、常に評価を行いながら、治療内容や目標の検討を行います。逆に評価の精度が低いものになると、成果が低いものになってしまうことがあります。

 リハビリテーションには、病気の種類で60日〜180日に分けられ、1日最大120分で1回20分〜と時間と期間が設定されています。目標と期間に応じてプログラムを立て、2週間〜4週間でクールで再評価し、目標の達成度の確認や目標修正、プログラム内容の見直しをします。

 リハビリテーションの提供に期間が決まっているということは、その期間内に最大限のパフォーマンスが活かせるようにプランを立てます。常に介入ごとに状態を確認して、細かいプログラムの修正をしますが、目標に沿ったものになります。機能障害は、疾患の種類や人により重いものから軽いものまで異なります。なので、同じ病態でも、誰もが同じプログラムになるというわけではありません。リハビリを受けるからには「身体機能の回復」という大きな目的があるのですが、実は単なる機能回復だけではなく、「具体的な活動・動作」があり、それを達成するためのトレーニングになります。単に、「機能障害に焦点」を当てるのではなく、「最終目標」の確認が必要になってくることになります。

 現代医療は、原因となる部位や感染を病理にて特定して取り除くものです。しかし、現状では、病気の部位ではなく、個人の社会活動や相互的影響によって多くの問題が起こるようになってきています。

 リハビリテーションを受けるということは、機能障害を有しており、回復に時間がかかるものが多く、その効果を実感するには変化を感じる必要があり、即座にわかる人もいれば、わかりにくい人もいます。

 リハビリ職は評価と運動・動作方法を提案し、機能回復や動作の獲得を目的とするだけではなく、復帰後の能力の維持・向上が図れるように運動や動作方法の提案を行います。リハビリテーションが介入できる期間は限られているので、介入後にも自身の心身をコントロールする術を知ることが必要になり、また「健康」を保っていくことにも役立つことになります。。

 臨床に関わっていく中で「健康」には、何が必要になってくるのか? と考えると、病気や怪我をする前の段階である0次予防が重要であること考えています。そのためには、自身の身体の特徴や状況を知り、健康を保つための知識を得ることが必要になります。

 人の身体の特徴を捉え、パフォーマンスを上げ方や心身機能・維持向上を医療的な側面で支援を行うことができるのが、リハビリテーションの知識・技術になります。

 臨床における様々な知識と経験を活かして、健康経営の組織作り・支援を行います。

ヘルスリテラシーの向上(ヘルス・アウエアネス)

 健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識意欲能力であり、それによって、日常生活におけるヘルスケア、疾病予防、ヘルスプロモーションについて判断したり意思決定をしたりして、生涯を通じて生活の質を維持・向上させることができるものヘルスリテラシーといいます

 この健康への情報把握を入手したとしても、個々人の身体的特徴に適した健康情報が必要になってきます。健康の維持・増進には気付き(awarenessが重要になります。

 ヘルスリテラシーには、機能的相互作用的批判的といった3つのレベルがあります。機能的ヘルスリテラシーが低いということは、健康関連アウトカムに影響を与える可能性が高いと言われています。

 日本は国際的にみて、まだヘルスリテラシーが低いことが指摘されています。日本の教育制度は整っており、世界でも高等教育を受けることができる人の割合が多いのですが、健康促進におけるヘルスリテラシーは十分ではありません。だからこそ、健康に必要な知識と自身の体への気付き心身が健康である」ということに必要になってくるのではないかということになります。